新しい経済社会の構築

安心できる年金・医療・介護制度の改革

「新たな完全雇用社会」の実現

中小企業こそ元気の源


新しい経済社会の構築

 今日、日本経済に見られる不況と沈滞の原因は、バブル経済の崩壊、不良債権の膨張、金融と通貨の不安等に加え、グローバルな自由貿易体制への移行、市場経済万能主義、圏域温存型の行財政改革、ゼロ金利政策等、これまで続けられてきた政府の構造政策の失敗によるものであり、社会構造そのものの破綻と言えます。
 また、このような社会構造の破綻によって生ずる雇用や社会保障などの先行きへの不安が政治不信として蔓延しています。国民の政治不信は、国民から活力を奪い生産や消費を停滞させる「デフレ・スパイラル(*1)」の複雑な構造不況をつくりだしています。
 このような構造不況に対して、「自自公」政権は相変わらず従来型の産業構造調整、赤字国債による公共投資、日銀主導の超低金利政策、減税等による不況対策を進めているに過ぎません。
 民主党は、市場経済を基本としながら、企業がそれぞれに社会的責任を負う「自立した経済社会(市場の自立)」に構造の変革を促します。さらに、「競争社会下での公平の原則」「市場経済下での社会政策」等を重視する価値観に立った、「セーフティーネット型」の新しい経済社会を創ることで政策不況を克服します。
                                          
*1 デフレ・スパイラル[deflationary spiral]物価の下落と企業収益の悪化が循環的に続き、不況が深刻化する状況。
 
〇民間主導の自立した市場経済の確立
 自由な貿易、自由な市場の下で発展する経済秩序を信頼します。経済活動における公共セクター(政府・制度)の将来における役割は、公正な競争を育てる市場のルールや環境の監視、最低賃金や雇用保険、年金等の社会保障制度に限定します。市場の調整は、行政の手から企業と消費者の手に委ねます。
 
〇従来型公共投資から民間投資主導への転換
 当面は、景気回復を優先した財政刺激策をとりますが、従来型の公共事業投資を、新しい産業群を生み出し民間の活力を育てる「民間主導の社会資本投資・社会資本整備(PFI(*2)等)」に転換するため、これに予算の重点配分をいたします。苫小牧東部開発用地の今後の活用については、「リサイクル工業基地」「大規模食料備蓄基地」「国際災害支援センター」等のプロジェクトへの転換を促します。
 
*2 PFI[private finance initiative]社会資本の整備や質の高い公共サービスの提供に際して、可能な限り民間の資金や経営ノウハウを使うというもの。1999年7月にPFI推進法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が成立した。

〇戦略的新産業群の育成
 持続した経済発展のための新産業群として、情報通信、環境やバイオマス(*3)等の科学技術型産業群の振興とともに新エネ、資源循環、社会福祉などの「セーフティーネット型産業群」の育成を図ります。
 このための税制優遇措置、投資環境や規制の緩和を進め、産学官共同研究や産業クラスター(*4)への支援、ベンチャー企業(*5)の育成やNPO(*6)等の参入の機会を広げます。

*3 バイオマス[biomass](本来は「植物体の総量」の意)生物群をエネルギー源として利用すること。石油に代わるエネルギー資源として注目されている。
*4 産業クラスター[cluster]クラスター=原子や分子が結合してつくる結合体。産業にあっては、さまざまな業種や企業が合同して新たな産業体や企業体を生み出すこと。
*5 ベンチャー企業[venture business]新技術や高度な知識の集積で、成長性の見込まれる分野に進出する小企業や小集団。
*6 NPO[non-profit organization]民間の非営利組織。社会の利益のために寄せられた寄附金・会費を主な財源にし、社会に対するサービスを提供する組織。NPO法(特定非営利活動促進法)は、1998年3月に法制化され、北海道では条例化を検討中。
 
〇情報の格差解消とネットワーク化
 21世紀社会は情報の社会です。そして基幹産業としての情報通信産業は、セーフティーネット社会における社会資本の基盤となります。このため、情報の社会間格差や地域間格差解消(情報リテラシー(*7))のための公共投資の重点配分を図ります。多言語相互変換技術の開発や高齢者・障害者のための機器開発、医療情報のネットワーク化等を進めます。
 また、プライバシーの保護や犯罪防止のための法整備を図ります。北海道においては、 「高度情報化推進条例(仮称)」の制定を図ります。

*7 情報リテラシー[literacy]コンピューターに情報を入力したり、必要に応じそれを
  引き出す能力。政策用語として情報格差のない社会を「情報リテラシー社会」等と呼ぶ。
 
〇環境と生活に優しい総合交通体系
 交通・物流を支える鉄道、道路、空路、海運等については、産業政策や社会政策との整合性、国民負担との調和、機能間の連携等と合わせ、環境負荷の軽減とバリアフリー(*8)の行き届いた「安心と安全のライフライン」整備、国際化の時代に対応した総合交通体系の確立を図ります。
 このための高速交通ネットワークとして航空網の整備、鉄道の電化と複線化や緊急通信施設の整備、ロードヒーティング等、地域と生活に優しい交通基盤への投資を図ります。 

*8 バリアフリー[barrier-free]障害者や高齢者の誤用を避けたり使いやすくしたりする工夫をしたもの。
 また、低公害車や無公害車の開発と普及を進めます。北海道新幹線については、当面、函館までの早期実現を図ります。
 
〇自然と生活のふれあう観光ネット
 国際化や環境重視社会に対応した新しい「観光立国」を目指します。また、農山漁村を個性とこころのふれあう観光資源として整備する等、新たな観光資源の開発と整備を進め、「観光ホスピタリティ(*9)」としての充実を図ります。本道を国際的なニーズに応える「観光立県」として整備するため、「北海道観光振興条例(仮称)」を制定します。
<br> *9 観光ホスピタリティー 保養、療養、介護などを兼ねた複合観光地域。

〇省エネ、新エネなどの開発と普及
 低公害や無公害車の開発普及、燃料電池の開発や風力・バイオマス等の新エネ普及のための支援施策や規制の緩和、コジェネレーションシステム(*10)や廃棄物発電システムの普及と制度化など、資源循環型社会のエネルギー需給体制をつくります。

*10 コジェネレーションシステム[cogeneration system]需要地に近接して分散配置させる小規模電源の一つ。1種類の一次エネルギーから電気と熱を同時に供給(熱電併給)し、エネルギーを有効利用するシステム。
安心できる年金・医療・介護制度の改革
 
 安心を保障する「セーフティーネット社会」の中心は、社会保障制度の充実です。長寿・高齢化が進む中で、多くの人々の中に健康と老後への不安が広がっています。この中で、国民が期待する福祉へのニーズは、質量とも大きく変わっています。年金や医療制度の抜本改革が急務です。その一方で、介護保険のように地方分権の流れに沿い、住民により身近なところでのサービスの提供も求められています。
 しかし「自自公」政権は、公的年金制度の抜本改革を先送りしてきたばかりか、財源の不足を理由に現行制度の改悪を提案しています。医療制度も高齢者の費用負担や保険料の引き上げが進められようとしています。
 民主党は、医療保険制度と年金制度の抜本改革を断行します。そして、将来にわたって国民に安心社会を約束します。その将来像については、サービスに伴う負担の在り方も含めて、国民の選択を大切にします。
 また、介護保険等の医療や介護施設の整備が、景気の循環と地域の雇用確保等の経済的効果にも結びつくことから、公共投資を重点的に振り向けていきます。
 
〇年金制度の改革
1. 現行の基礎年金制度を改革し、全国民に一律定額の年金額を給付する「国民基本年金」制度へ再編し、最低所得保障を約束します。
2. 基本年金の財源は国民負担(消費税)によります。このことで給付水準と消費税率を完全に連動させ、負担と給付の関係を透明にします。
3. 低所得者に負担の大きい定額制の基礎年金保険料を廃止します。これに伴う現行基礎年金部分に相当する積立金については、少子高齢社会のピークに合わせ計画的に取り崩すことで消費税率の抑制を図ります。
4. 全ての個人が自分自身の年金権が持てるよう、給付と負担の設計を世帯単位から個人単位に転換します。
5. 厚生年金報酬比例部分の60歳からの特別給付を維持しつつ「65歳現役社会」を目指すための諸制度を整備します。
6. 高所得水準者を対象とした65〜69歳の在職者の厚生年金については、給付水準を調整します。
 
〇医療制度の改革
1. 拠出金に依存した現在の老人保健制度を廃止し、社会保険方式を基本とした新たな制度を創設します。このことで、現役世代の保険料負担の軽減を図ります。財源の不足分は国の負担とします。
2. 高齢者の負担は、保険料と窓口負担分を合わせ、現役世代より低く設定します。また、低所得者には減免措置を講じます。
3. 現在の保険機能を抜本的に再編するため、政府管掌健康保険は広域自治体単位に分割し、国民健康保険は組合国保を除いて広域自治体単位に統合します。零細な組合健康保険については、適正な規模への統合を進めます。
 
〇介護基盤の緊急整備
1. 介護基盤整備の遅れを取り戻すため、緊急整備を集中的に進めます。このため「スーパー・ゴールドプラン(*11)」を策定し、予算の重点配分を実施します。
2.自治体がきめの細かい対策をとれるように、低所得層の保険料の支払区分細分化や高額介護サービス費の上乗せを独自に実施できるよう支援します。
3.介護のための休業時における所得給付率を一定の条件のもとで60%とするとともに、介護による離職者が再び就業するための基盤を整備します。
 
*11 スーパー・ゴールドプラン 介護サービス基盤緊急整備計画
 
「新たな完全雇用社会」の実現
 
 産業界はバブル経済崩壊後の企業バランスや収益環境の回復を雇用調整に求めてきました。この結果、かつてない大量の失業者と雇用不安が社会を覆っています。
 また20世紀後半に見られた産業構造の変化は、社会が求める労働の質そのものを変えました。このため、労働市場においては「労働需給のミスマッチ」が構造化し、新たな雇用問題を引き起こしています。
 失業、雇用不安、求職難、賃金の抑制等、働く人たちの環境悪化は消費市場や自治体の財政収支に影響を及ぼすことで景気の悪循環、景気後退の大きな要因をつくりました。
 民主党は、雇用の安定こそ、国の経済と国民生活の安定の基本であり、それを図るのは「国の責務」であると考えます。これまで「自自公」政権が進めてきた間接的な経済・雇用対策では、企業の利益は債務処理に回され雇用確保にはつながっていません。過剰債務下での雇用対策は、企業の安易な雇用調整を厳しく制限するなど、失業に歯止めをかける「直接雇用」の政策が必要です。民主党はその上に立って新しい就業の機会を創造する「新たな完全雇用社会」を目指します。
 
1. 安易な雇用調整や便乗リストラを厳しく監視します。一方では、在職中の職業能力訓練はもとより再就職についての企業責任の強化を制度化します。
  国は、企業による再就職支援事業を支援するため、企業内職業能力訓練への支援や雇用保険の給付条件を緩和し給付期間の延長を図ります。
 
2.緊急地域特別交付金制度については、当分の間、雇用期間(6ヵ月未満)の制限を撤廃します。また、中小企業支援事業として、これまで雇用保険の対象とならなかった人たちに対して、一定の条件の下で制度の適用を図ります。
 
3.中高年の雇用機会確保のため、「中高年齢者雇用開発奨励金」の継続と制度の拡充を図ります。
 また、年齢を理由とする雇用差別を禁止するため、「年齢差別禁止法」を制定します。これに伴い、公務員一般職の採用資格試験の受験年齢制限を引き上げます。
 
4. 中高年ホワイトカラー層の雇用問題に対応するため、「職業安定法」を改正し、再就職支援ビジネスを自由化します。国は、融資制度、税制優遇措置を講ずるとともに悪質な業者の排除を徹底します。
 また、公共職業訓練施設の民間への貸し出しなど、ハローワークサービスの体制充実を図ります。
 
5.中高年者や若年者の求人拡大のため、中高年者には、現行制度を広げ「中高年人材移動助成金」制度を新設し、45歳以上の勤労者を受け入れる企業への支援をします。若年者には、学校での職業能力カリキュラムの充実やインターンシップ制度(*12)を導入します。
 
6.倒産など、企業の事情による失業に対して、雇用保険被保険者期間が6ヵ月に満たない者についても、90日間の失業給付の特例を制度化します。
 
7.円滑な人材移動を促すため、現行の雇用調整助成金制度に替えて再就職を目指す勤労者の職業能力開発への助成金に拡充します。
 また、教育訓練給付制度の適用対象を専修学校や大学のコースに広げ、より専門的な能力の開発を図るとともに、助成制度や助成要件の緩和を図ります。
 
8.労働移動が、雇用の不安や労働条件の低下など、勤労者の不利益とならないために、雇用保険法を改正し雇用保険への加入要件を緩和するほか、「労働移動円滑法」の制定で、職種や雇用形態の違いによる社会保障制度上の不利益を解消します。
 
9.労働需給調整のためのワークシェアリング(*13)の制度化を進めます。
 
10.パートタイム労働者への労働条件改善と各種保険制度の適用を図ります。また、季節労働者の冬季援護制度については、当面10年間の延長措置を図ります。

*12 インターンシップ制度[internship]在学中から企業などで就職体験を行う制度。
*13 ワークシェアリング[work sharing]一人当たりの労働時間を短縮させることで総労働時間を分け合い、雇用を確保しようとするシステム。

中小企業こそ元気の源

 景気後退の影響をもっとも受けているのは中小企業です。消費減退型の不況構造は中小企業や商店街で働く人たちから職場を奪い、新たな設備投資を減少させ、地域や生活の場から活力を失わせています。
 民主党は、中小企業こそ、わが国の伝統的な技術を受け継ぎ、雇用を支え、地域と商店街を
活性化させる「日本の元気の源」と考えています。このため、中小企業や商店街に情報や雇用を定着させ、新たな設備投資への刺激策を講ずることが、景気回復にとっての緊急な課題です。
 民主党はこれまでも、「中小企業基本法」「大規模小売店立地法」「中心市街地活性化法」等の改正にあたって、付帯決議を取りまとめるほか、「貸し渋り対策」等での適正な融資の促進等に取り組んできました。今後も中小企業や商店街の「やる気の支援」「ベンチャー企業の支援」「人材育成等ソフトの支援」「技術の支援」「ものづくりの支援」「まちづくりの支援」「働く人たちや女性の支援」を積極的に進めます。
 
1.やる気のある後継者を育成し事業の継承を容易にするため、累進度の高い相続税体系を見直します。また、未公開株(取引相場のない)の評価方法のハードルを低くして、事業継承の円滑化を図ります。
 同族会社の留保金課税制度については、適用除外の特例を制度化します。また、起業後の法人税の軽減を図ります。
 
2.資金的な支援を一層強化するため、「金融安定化特別信用保障枠制度」の運用をチェックし、重点的に貸出される制度に改めます。政府系金融機関による無担保・無保証制度の充実と中小企業向け枠の拡大を図ります。社債による金融機関融資を容易にするため「信用格付け情報基盤」の整備等、金融市場環境の整備を進めます。
 
3.中小の起業を支援するため、中小ベンチャーのための投融資環境を整備します。このため、ベンチャーキャピタル(*14)の充実を図るための制度を創設します。また、ベンチャー企業に対しての融資条件の整備や支援投資家に対しての優遇措置の改善を図ります。
 
*14 ベンチャーキャピタル[venture capital]成長性のあるベンチャービジネスに対する投資を専門に行う企業。

4.人材の育成や定着、新たな発掘をサポートします。また「教育訓練給付制度」については、教育機関の拡大や対象講座の増設、指導者の質の向上を図ります。
 
5.ものづくりの支援のため、技術者・技能者の社会的地位の向上を図ります。人材のデータベース化を進め技術交流や技術者の移転環境を整備します。
 
6.中小企業がもつ技術の改革や伝統の継承のため、「中小企業技術革新制度」の予算の確保、商品開発の支援を強化します。地域の大学研究室・公的研究機関を地場企業の発展につながるよう整備します。
 
7.公共事業の入札制度については、地場企業・中小企業の支援を前提にした一般競争入札の拡大等、透明・公正な新たな制度への改革を図ります。
 
8.まちづくりの支援として空き店舗や空き地の活性化のため、共同事務所立ち上げの支援強化、在宅勤務型住宅(SOHO)への支援や商店街での福祉や介護のための福祉コミュニティ(シルバーハウジング、在宅介護対象者への住宅供給等)の立地を支援します。
 
9.中小企業の女性経営者、女性起業家、働く人たちの支援を図るために、女性のためのサポート施設、介護休業期間中の所得給付率の引き上げ、NPOとの協力、金融機関の信用保障等への支援を図ります。
 
10.人材の定着や経営支援の一環として、一定の条件の下で、経営者への雇用保険の適用を制度化します。